2015/04/13(月)松尾流「人生の歩き方」 プロローグ




 闇。
 地を踏む足の感触はそこがコンクリートであることを示していた。
風はない。ただ停滞して澱んだ空気が辺りを満たしている。
そこは特別珍しい場所でもない不況の煽りを受けて建設中のまま放置されたビルであった。
 足音を消し。辺りを窺い。進む。
 物音も気配も感じられないが、何人か潜んでいるはずだ。
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